Thursday, September 27, 2007

なかなか伝わらない子育てのコツ


私自身が子供を産んで育てたわけではないが、仕事をしながら一昔前なら、当たり前に伝わっていた子育てのコツみたいのが、なかなか伝わらないと感じる。新米のお母さんの身体を診ると左の肩や腕にこりがあると、「頑張っているなぁ。」と感じる。それは赤ちゃんの場合、産まれる1年近く前からお母さんの心臓の拍動を身体で感じてきた。産まれてから母乳を飲むのも心臓の近い、左のおっぱいをほしがる。寝かせるときなどは殆ど左側で鼓動を感じながらだと、よく寝る。若いお母さんは胸の左右差がつくので均等に飲んでもらいたいと思っているが、赤ちゃんは圧倒的に左である。昔は左で抱っこしながら、出来る家事をこなしたのだろうが、今は利き手の右で抱いてあやしているお母さんも多いと思う。

また夜お父さんが帰宅して寝かしつける場合など、うまくいかないことも多いのではないか。赤ちゃんはお風呂に入れていただいておっぱいを飲んで、お母さんの心臓の拍動を感じながら安心して寝ようと思っているのに、普段聞いたこともないお父さんの心臓の拍動では寝るわけがない。おっぱいが出ないと米ばかり食べて太っているお母さんもいるが、今の時代栄養失調などいない。お母さんのおっぱいはこころの安定で出るのである。おっぱいが出ないストレスや乳房の左右差、お父さんの寝かしつけの失敗など、こんな状態でいいおっぱいは出ないから必死にご飯を食べるがそれでも出ないので焦る。母親の心の安定がいいおっぱいを出すのに必要なことは、戦後、食べ物が十分にない時代でもちゃんと子供が育ったことをみればわかる。小さな事の積み重ねだが、生活の中で何となく身につけてつけてきたことが今はうまくいかない。特に気になるのは赤ちゃんはクーラーは大好きということである。良く真夏、赤ちゃんが車の中で死亡する記事を見るが、子供は熱に弱いのである。心配性のおばあちゃんに育てられると真夏でも「寒くないかい・・・・」と聞いているが、こういうおばあちゃんは冬になればストーブの前にベビーベッドを置いて、赤ちゃんの顔が真っ赤になっても、「寒くないかい・・・」と言うのではないだろうか。赤ちゃんはクーラーが大好きで、手足が冷たいのは問題ないのです。ちょっとしたことだが、積もり積もれば赤ちゃんは機嫌を損ね、ミルクを飲まなくなります。頑張れ、新米お母さん。

Saturday, September 22, 2007

鍋を洗うと再発するうつ病


最近、うつ病の患者さんが急増している。あまりに多いので急遽パンフレットを作ったほどだ。当院は専門が鍼灸や代替医療だから、特別にカウンセリングや精神療法を何かするわけではない。それでも鍼灸で何とかなればという切実な想いであろう。10年ほど前のうつは、「ちょっと精神的に・・・」と小声で言っていたが、最近は「僕はうつです。宜しくお願いいたします。」と元気に院内に入ってくるのを見ると、時代かなぁと感じる。なかなか通院だけで治癒しないケースは入院となるが、一時退院時に大事な注意事項がある。特に女性の場合、鍋を洗わないことである。几帳面な方ほどうつになりやすいが、女性が家を空けて、久しぶりの台所で汚れが気になるのはわかるが、そこで元気に鍋を洗ったら再入院は近い。理由はこうだ。一時退院といっても身体が元に戻っているわけではない。それを自覚しないで几帳面な性格ゆえに、今までの分を取り戻そうと必死に鍋を洗う。それも2つも3つも・・・。知らぬ間に鍋は綺麗になるが右手で洗えば右の腕が想像を絶するほど硬くなっている。しかし困ったことにこの腕のこりは自覚症状が出ない。知らぬ間に肩こり、首のゆがみ、頭痛、頭の血行不良が連鎖的に起こり、眠れないので薬を飲むが効かない。焦って抗不安薬を飲んでもよく効かない。そんなことが続けば又入院は近い。病院で退院時に、「鍋を洗うことに気をつけて。」とは言ってくれないから、何でも出来ると思って再出発の決意で家事をする。ここが落とし穴。我々みたいに全身の身体を診ていると、病み上がりではほとんどの方が出来るほど、肉体的に回復していない。当院ではそんな経験を良くしているから、退院時には、「汚れが目立つ鍋はしまうか新しいのを買うかした方がいい。まだ体力が半分ぐらいしか回復していないと思いなさい。」と鍋を洗うことを禁止している。

Tuesday, September 11, 2007

白内障と坐骨神経痛


白内障と坐骨神経痛と言われて関係があると考える方はいないと思う。ご年配の方から、「もうこの年になって身体にメスを入れるのは嫌だ。医者は白内障の手術をすればよく見えるようになると言うが、ちょっと新聞を読むのが不自由なぐらいだから、もういいと思って・・・」とこんな声を聞く。しかし長い間、身体の老いを診てきた私にとってこれはとても大事な問題が潜んでいる。というのは年を取って一番大事なものはニュースだと思っている。それもテレビで聞くのではなく、新聞で見ることである。以前の96才のご隠居さんを治療していたとき、必ず1時間の治療のなかで出てくる話のパターンが決まっていた。初めの15分ぐらいは最新のニュースの話から始まる。その後に自分が歩んできた人生とニュースをダブらせて、「今はこうかもしれないが、昔はこうだった。」という話が続く。ここまでで大体45分から50分。最後の10分で最近は便秘がひどいとか、膝の痛みが取れないなどの症状を訴えて1時間となる。何故かほとんどのお年寄りがこのパターンである。最新のニュースを自分で読んで考えて、人にしゃべり、昔話とくっつける。どうもこれが一つの健康法である。しかし眼が不自由になり、新聞を読むのが嫌になるとテレビでしか情報が取れないから、不思議と頭に残らず、確かテレビで見たんだけど内容をよく覚えていない。昔から読み書きソロバンとはよくいったものだ。。見書きソロバンとはいっていない。テレビだけとなるとニュースを良く覚えていないから、人と話をするのも自信たっぷりで話せないから、嫌になり接する機会も少なくなり、外出も控え、体力も落ち、便秘になると腰痛が出てくる。つまり坐骨神経痛になるのである。風が吹けば桶屋が儲かるではないが関係がある。新聞を読むのに不自由がなければいいが、年を取って最新の情報が新聞から取れなくなると次から次へと悪い事が起こる。お年寄りは時間があるのだから若い方がタップリ新聞が読めない分、ご自分の昔の体験とあわせてなにかの話になったときに、「新聞にはこう書いてあったよ。これは昔の~始まった話で今はこうだけどこんな流れがあった。」こういう展開になれば理想的である。それがテレビの知識だけだと、「それは僕も見たから知っているよ。」となり、そこから話が続かなくなるので、段々孤立してしまう。そういう意味でも白内障の治療は大切である。